2005年01月31日

黄砂の温暖化防止機能

朝日新聞の夕刊に「黄砂 地球を冷ます」との記事が掲載された。大気中に舞った砂の粒子が太陽光の反射を吸収するという。確かにそのように機能している面もあるだろう。だが「今回の研究結果で『有害』視されてきた黄砂も、『地球温暖化防止』に役立っていることがわかった」というこの記述では誤解を生む。あたかも黄砂を賛美しているかのようだ。

黄砂の発生により、どれだけの人が苦しんでいるのか。巻き起こった砂塵で呼吸器系に障害を起こしたり、目にごみが入ったりという直接・物理的な被害ばかりでなく、草原が荒れて砂地になってしまったという大地へのプレッシャーを、この記事は全く伝えていない。

紙面には、もちろん限りがある。だがキーワード(用語集)まで掲載して「黄砂」を解説しているのに、物事の大切なことは伝えていない。「韓国や中国東部では飛散量が増え健康問題になった。地球温暖化が一因とされる」との解説では、「ではその温暖化を防止するのならいいんじゃないの」と理解する人がいるだろう。

朝日新聞は、ときに“あおり”記事を書く。もちろんアジ記事だらけの産経新聞などとは比べ物にならないが、もっと「一般」の読者のために、きちんとした情報を伝えて欲しい。ちなみに記者は大久保泰さん。名入りの記事というのはどこで何を言われるかわからないから怖いですね。

2005年01月27日

国会での答弁

衆院予算委員会で、菅直人議員が小泉首相に「東アジア共同体」について質問をした。小泉さんはしばしば「東アジア経済共同体」などについて言及するが、どの程度考えているのかと楽しみに聞いていたら、全くたいしたことなかった。

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2005年01月26日

中韓へのビザ

中国、韓国へのビザ発給に関する制限が緩和された。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/17/rls_0124c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20050125dde007030046000c.html

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2005年01月25日

アジア女性基金

財団法人女性のためのアジア平和国民基金が、2007年で活動を停止することを発表した。旧日本軍の従軍慰安婦に対する償い事業が2年後に終わるためらしい。この財団、95年に村山富市元総理の働きかけによって創設され、以来各国の元従軍慰安婦への賠償やケアを行ってきた。

設立当初より、右翼の反対はもちろんあった。それどころか、賠償金として使われたお金が公金ではなく民間から集めたものであったため、右翼ばかりでなく、国内外の極左とも思われる人々からも批判を受けてきた。

左翼の人々が反対する理由としては、国家による保障を求めているのだから、基金を作ったことでお茶を濁すな、ということだろうか。そうした動きがあったために、各国で賠償金を受け取らない人々もたくさんいたという。直接調べていないので大きな声では言い難いが、元慰安婦の人たちの中にも、本当はもう(お金を受け取るということで)闘いを終わりにしたいのに、受け取れないような雰囲気があったとか、支援団体なども二分したらしい。

今日の朝日新聞の社説は述べている。「当初の構想からすると、(基金は)満足な成果ではなかったろう。しかし、内外の圧力に苦しみながらも、戦争責任の問題に取り組み、歴史の歯車をわずかながら前へ動かしたとは言える」。

朝日新聞は、ときにその強引な取材と偏重した記事で問題になるが(現在のNHKとの問題でもしかり)、この社説には全面的に賛成する。基金の事業は、村山さんでなければできなかった偉業である。これで幕引きにしようなどという狭い考えではなく、本当に必要だと思ったから、基金を創設したのだと思いたい。

基金からの賠償を自らの意思で受け取らなかった人がいるとしたら、本当に悲しく思う。政府が表立ってできないことを、民間でやる。本当にすまないと思ったから寄付をした人たちの思いを突っぱねたら、今後和解への一歩は踏み出せない。基金による賠償金は、示談金ではない。十分に目的を果たせなかったにしても、基金の善意に背を向けないで欲しい。

そして「従軍慰安婦などいなかった」とか「彼女らは強制されたのではなく金稼ぎのために体を投げ出した」などと主張する人たちよ、……レイプの苦しみを理解できないほどに幸せな人には、正直なところ、まだ言う言葉が見つからないでいる。

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2005年01月24日

韓国の歴史教科書

 以前から目を通してみようと思っていた韓国の歴史教科書を、ようやく手にとることができた。『韓国の歴史―国定韓国高等学校歴史教科書』だ。もちろん全部は読めていないが、日本が記述されている部分は読んだ。

 第一印象としては、「残忍な」「悪辣な」「無慈悲に」「残酷な」などの形容詞が多い。「歴史」の教科書ではなく、民族教育の教科書と言えないでもない。

 「倭乱の影響」と題した豊臣秀吉の侵略を記述したところでは、「倭乱でわれわれが勝利をおさめることができたのは、わが民族が持っていた潜在的能力が優れていたためである。つまり、官軍次元のわが国防能力は日本に劣っていたが、全国民的次元の国防能力は日本を凌駕した。わが民族は身分の貴賎や老若男女を問わず、文化的な優越感に非常に満たされていて自発的な戦闘意識をもっていた」と記述されている。あほか。

 38度線での南北分断に関して。「このようにわが民族は自主独立国家をなしとげる能力を持っていたにもかかわらず、強大国の利益によって国土が分断される民族的悲劇を迎えたのである」。「このように」で指し示されている部分は、もちろん客観的なデータではない。(もちろん、そんなものをデータなどでは図れませんが。)

 編集者たちのあとがきにはこう書かれている。「よく指摘されることですが、韓国の教科書での歴史叙述は国家、民族の強調が目だちます」その通りだなあと思って読み進めると……「その理由は第一に、これが歴史「教育」のための国定教科書であるからでしょう。韓国の教科書にはこの国の支配者が未来を担う青少年にどんな歴史意識を形成したいかがよく表れています。第二には、韓国がおかれている歴史的現実(半世紀前まで他民族によって国を奪われ、今日もなお民族分断の矛盾に面していることなど)から、国家、民族の正当性を確保することで国民意識の統一を図ることが必要だと考えられているからでしょう。単なる傍観者的立場からこれを批判することは戒めるべきでしょう」とある。

 私は、この立場には賛成できない。歴史教育におけるスタンスの違いなのか、これでは偏狭なナショナリズムを生むばかりである。

 友人が、韓国で歴史を教えている先生に聞いた。
 「この教科書を読むと、みんな日本人が嫌いになるんじゃないですか?」
 「まあ、嫌いになるでしょうね。でも、誰も教科書に書かれてあることが絶対だとは思ってない。大人になっていろいろなものに触れ、少しずつ考えなども変わっていくんじゃない?」

 ……韓国は、そこまでメディアリテラシーが発達しているのだろうか?そうは思わない。それとも、日本人が「お上」に従順すぎるのか?いずれにしろ、この教科書の記述はかなり問題だ。「日中韓3国共通歴史教材委員会」が編纂する共通の歴史教材を、早く見てみたい。

関連記事:日中韓の共同歴史教材、完成間近!

2005年01月21日

中国で発電所の建設停止

中国環境保護総局が、環境法に違反している発電所に建設停止を命じた(報道記事)。停止を命じられた発電所の中には、国を挙げて進めている三峡ダムに関連する発電所もあるという。

実はこれ、環境法に違反しているんだからその建設が停止させられるのは当然のことなのだが、日本にわざわざ翻訳されて報道されるくらいなんだから、まあ関係者もすごいニュースだと思っているんだろう。中国の環境に関心を寄せてきたこちらの立場とすれば、中国もなかなかしっかりしてきたな、という感じ。(失礼ですか。)

三峡は、大学1年の夏にビーチでバイトをしてお金を貯め、1人で現場を見て来たところだ。中学生の頃、社会科の先生に「いずれ沈んでしまうところなんだよ」と教えられ、それ以来ずっと行きたいと思っていた。沈む前に、歴史の舞台ともなり、山水画にも多く描かれた風光明媚なところを見てみようと。……ロマンチストだったんですねえ。

当時からすでに工事は始まっていた。ガイドさんの「あの町も、あと数年したら住民は移動しなければいけません」という言葉に、遠ざかるフェリーからしんみりと町を眺めた。ダムができることそのものには私などがどうこう言えないが、現地の人びとの暮らしが改変させられることになった分だけ、せめて、多方面にきちんとした配慮を望みたい。

投稿者 mumble : 19:12 | コメント (4778)

2005年01月20日

金正日の言葉

北朝鮮の労働党機関紙『労働新聞』が19日、「日本帝国主義は過去もそうであったが、今も我が人民の100年来の宿敵であり、恨み骨髄に徹する敵である」とする金正日総書記の言葉を紹介したと、伝えられた

そんなに恨まれてるのか~、とも思うが、「100年の敵」というくらいじゃ、まだまだ甘い(笑)。過去の歴史をず~っと振り返って、「古来より」などと言われたんじゃどうしようもないような気がするけど、100年ちょっとの恨みつらみじゃ、これからの努力で乗り越えていけそうな気もしないでもない。

しかし、数年前の小泉訪朝のときにうっすら感じられた日朝国交回復の兆しは、最近はすっかりどこかに消え去っている。変わって、最近はまたマスコミによる「北朝鮮ひどい国論」が目立つ。日テレの「真相報道バンキシャ!」などは詳細な取材などをしていると思われるものの、作りにあからさまなあおりの意図が感じられて、見ているこっちが気分悪くなってくる。

朝のワイドショーもしかり。それにしても、ニュースキャスターなんだかジャーナリストなんだか知らないけど、テレ朝の「スーパーモーニング」でレギュラー(?)の鳥越俊太郎氏も、地位を落としましたね。私でも言えるようなコメント+もっともらしい態度は、かつての偉業を汚すんじゃないかしら。まあテレビを見ている大半の人は、あまり気にしないんでしょうけど。

投稿者 mumble : 15:32 | コメント (4820)

2005年01月19日

『東アジア共同体―経済統合のゆくえと日本』

ようやく『東アジア共同体―経済統合のゆくえと日本』を読んだ。読み終えた、と言ったほうが適切かもしれない。何しろ読破するのが苦痛だった。筆者は、外務省勤務を経てOECDの事務局にも入り、現在は大学などでも教える日本外交のプロとも称せる谷口誠氏だが、「だから」なのか、つまらない。

入門書との位置づけのある岩波新書で、深みのある議論を求めるほうが無理かもしれない。でも「東アジア共同体」に関心のある人しか、きっと読まない。そうすると、“概説”ばかりが繰り返されると飽き飽きしてくるのだ。

この本で言いたいことは3つ。
・日本外交はアメリカに傾斜している
・日本はもっとアジア、特に中国と仲良くすべき
・東アジア経済共同体のメリットは充分にある
これを主張するために、200ページもの分量はいらない。

ではどのような内容だったら良かったのか。それも難しい。それがわかっているんだったら、私が書けば良いし、本を読む必要もない。ただ少なくとも私が求めていたのは、「東アジア共同体」形成に至るまでの“ナマ”の動きであって、今までの各国の動きの解説ではなかったということか。

「共同体」に関して言えば、少なくともヨーロッパでは、EUができる前から幾度となく国境線が引かれ直したり、民族が混ざり合ったりして、軋轢も多かったものの、相互理解への基盤は民間レベルで今の東アジアよりは多くできていたのではないかと思う(検証したわけではないから憶測ですが)。多言語を操れる人もたくさんいた。

「東アジア共同体」を作るにもそうした基盤が必要だ。その基盤ともなる様々な交流の文化や歴史に関する記述が何もなかったのが、残念だったのだ。国を動かす現場に立ち会っている人にこそ、こうした視点を忘れないでいて欲しい。

投稿者 mumble : 20:15 | コメント (14142)

2005年01月18日

ベトナム戦争と韓国

3月に韓国の友人らとベトナムに行くことになったため、最近少しベトナムのことを調べている。今までベトナムに関して本当に何も知らなかったんだと情けなくなるが、ベトナム戦争に参戦した韓国軍は、かつての日本軍のように、本当にひどいことをやったらしい。

韓国人女性の調査によって、韓国軍の残虐行為が明るみに出ている。ただびっくりしたのが、この事実に対するベトナムの人びとの態度だ。孫引きになるが、2000年4月12日号の『ニューズウィーク日本版』によると、「ベトナム政府は神経をとがらせている」という。「虐殺があったこと自体は、政府首脳も承知しているが、虐殺事件の報告書が国内で発表されることは望んでいない。友好関係にある韓国政府はもちろん、ベトナムに莫大な投資を行っている大宇や現代、三星といった韓国財閥の不興を買うことを心配しているからだ」だって。

さらに、「観光客としてベトナムを再訪する韓国の元兵士が増えている状況に水を差したくないという思いもある」らしい。地元の人の言葉にはもっとびっくり。「私たちが望んでいるのは、物質的な補償ではない。それよりも共感と友好の姿勢を示してほしい。犠牲者が過去を忘れられるように」。

……素晴らしすぎる。かつて私は韓国の友人に、「日本は加害者で、韓国は被害者なんだから」と当然のことのように言われた。もちろんそれに異論はないが、「だけど僕たちは気にしないでいてあげるよ」という姿勢が感じられた。それはそれでありがたいんだけど、私はそんな“お慈悲”を望んでいるのではない。ベトナムと韓国、韓国と日本。真の友好関係を築くために超えなければいけない壁は、まだまだ高そうだ。

投稿者 mumble : 15:55 | コメント (3168)

2005年01月14日

北東アジアと東北アジア

東アジアの北部を語るときに、「北東アジア」という言い方と「東北アジア」という言い方がある。両者は、だいたい同じ地域を指すらしい。ただ「東」を先にもってくるか、「北」を先にするかの違いということなのだが、……どっちがほんと?(ここでいう「ほんと」とは、「どちらが正式か」という意味です。)

中学の地理で、地域名を呼ぶときには、「北」と「南」を先にすると習った。その理由は確か、英語ではNortheast という言い方をするから、ということだったように記憶している。天下の外務省も「北東アジア」を使っており、「北東アジア課」というものも存在する。三つ子の魂百まで、と言ったところか、私などには「北東アジア」というのが地域概念としてはしっくりくる。

では「東北アジア」とは何か。実はアジア経済研究所をはじめ、「東北アジア」は、非常に多くのところで使われている。数で言えば、おそらく「北東」より多いだろう。東北大学の東北アジア研究センターでは、「『東北アジア』という地域名称を社会的に定着させ」ることを柱にしてさえいる。

大阪大学名誉教授の加地信行氏は、「北東アジア」は外務省の粗訳、とまで言っている。「南東アジア」とは言わないくせに、というのがその理由らしいが、実は外務省には「南東アジア第一課」というものが存在する。まあ外務省は「東南アジア」も使っているからわかりにくいけど、これは加地さんの認識不足でしょう。

さてそれでは、「東北アジア」を使うもっともな理由は何か。……誰に聞けばわかるのかしら。

投稿者 mumble : 17:59 | コメント (4475)

2005年01月13日

携帯自動翻訳機

今ではサイト上でもさまざまな自動翻訳サービスがあり、私も時々韓日翻訳で利用する。その性能は韓国語がわからないのでなんとも言えないが、英日で言えば、数年前は「Bush meets Bakar (ブッシュがベーカーと会った)」という文が「藪がパン屋と会った」くらいにしか訳されなかった。その頃から比べれば、最近は語彙も増えて、もっと使いやすくなっている。

さて、「政府が開発を進めている『多言語音声自動翻訳システム』が2005年度中にも完成する見通しとなった」と読売新聞が伝えている。日英中韓に対応するらしい。

私が日本語で「こんにちは」と話したものが、韓国の相手には「アンニョンハセヨ」と聞こえるようになるとのこと。そりゃーすごいよね!!まあ、市場に出ているウェブの自動翻訳だってまだまだ誤訳は多いし、文として意味が通じないものもたくさんあるから過剰な期待はできないけど、少しずつでも進歩してるのは評価せねば。

……と言っても、どうせ定型文は登録しておくんだろうから、きちんと話さなきゃ通じないだろうな。それよりも、やはり自分で言葉をマスターしたほうがいいことは間違いない。(おや、懐かしいフレーズ。)

投稿者 mumble : 16:53 | コメント (7037)

2005年01月12日

GPPACのシンポジウム

2005年7月、ニューヨークの国連本部で開かれる紛争予防に関する国際会議にNGOの声を届ける取り組み、GPPAC。世界がいくつかの地域に分かれ、「プロセス」と呼ばれるグループを組織して多くのNGOからの声を集約している(はず)。

関心のある人から広く意見を求めることになっているが、発足からしばらく、結構注意してみているけど、こうした情報は全然表に出てこない。かつて、私も記事を書いたことがあるけど、反響もあまりないもよう(ひとえに、文が下手なだけですが)。日本の窓口はピースボートが担っているんだけど、「本当に広報しているのか?」と思ってしまう。

2月4日は、GPPAC北東アジア地域運営グループが主催するシンポジウムがある。「東北アジア各地からのNGO活動家や研究者が出席し、紛争予防のための地域提言を紹介するとともに、平和を願う市民・NGOの声を届けます」ということだけど、ではもう提言はできているのね。どれだけの人が参加したのか気になるので、足を運んでみようかしら。